2020/08/06

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これを言うと悪いクセがつく、野球指導のNGワード



野球指導でなんとなく言った言葉によって選手に変な癖がついてしまったことはありませんか?

私もコーチをしていた頃に間違った指導をして選手をダメにしてしまったことがあります。

ボールを投げる時に腕のしなりを教えようとした時に「肘から出せ!」と指導したところ、腕がしなるのではなく肘から出る置きにいったような投げ方になってしまいました。

動作を指導するのは非常に難しく、このようにたった一言で野球人生を潰してしまう可能性があります。

これらの多くはプロ野球選手や上手な選手を見たまま指導してしまうことで起きます。

勝手にそうなる動作と意図してしている動作を理解する必要があります。

腕のしなりは勝手になる動作です。

また、子どもたちは体を思い通りに動かせないので、具体的すぎる内容は再現できず混乱してしまうのです。

私がこれまで実際に経験してきたことから学んだ野球のNGワードをご紹介します。


投げる動作

ピッチング理論はある程度完成されているので比較的指導が出来るのですが、投げる動作は繊細でコントロールと動作の両立は非常に難しいものとなっています。

投げる動作の指導は曖昧な言い方をして選手の感覚と大切にしてあげることが重要です。

「肘から出せ」

これは冒頭の例でも出しましたが、腕は振られるもので勝手にしなるものなので、腕を動かそうと意識することは手投げになってしまいます。

肘から出るような感覚を教えたい場合は「腕の力を抜く」や「全身を使って投げる」「回転を使って投げる」などの曖昧な言葉を使って子供達に自分で考えさせることが大切です。

また肘の位置が大切なのでボールが頭より少し上で肘が肩より少し上の位置でトップが来るようにしましょう。

1球投げるごとに指の感覚を教える

ボールを投げる時の指の感覚は非常に繊細です。

頭で考えて行うものではありません。

ボールが右に行ってしまった時に「薬指を強く」とか、上に行ってしまった場合に「もと強く握れ」などのように1球1球に指先の感覚の指導を行うとわけがわからなくなってしまいます。

これがひどくなるとイップスと言って動作がぎこちなくなってしまいます。

ボールをコントロールする方法の指導は簡単なのでご紹介します。

「ボールは見ているところに飛んでいく」です。

コントロールの悪い子の多くは投げるところを見ていません。

しっかりと相手のグローブだけを見させるのです。

そして「グローブだけ見て思いっきり投げてみて」と言って投げさせます。

すると少しズレるでしょう。

そうしたら「何も考えなくていいからもう一回同じように投げてみて」と言って投げさせます。

すると狙ったところに行きます。

人間の体は修正能力があるので勝手にズレを修正してくれます。

ポイントはしっかり投げる場所を見ることと何も考えないで思いっきり投げることです。

バッティングの動作

バッティングの動作は投げる動作に比べて修正がしやすいですが、試合でボールを打つ時にどうしても癖として出てしまいます。

出来ることなら修正しなくても済むような指導をしたいですよね。

よくあるバッティングのNGワードです。


「腰を回せ」

どのプロ野球選手を見ても腰が回っていますよね。

そして一番最初に指導するのが腰を回せだと思います。

しかし、腰は強くスイングしようとすれば勝手に回るものです。

腰を回すことを意識すると、どうしても体が開いてしまいバットが出てこなくなります。

ただでさえバットを重いバットを振ることができない子ども達にバットが出にくくなる指導は向いていません。

まずはバットの先を出してくることを指導するべきです。

最初は手打ちで結構です。

手打ちで打った勢いそのままに体の後ろまでバットが来るくらい振り切ることで体は回転します。

「手首を返せ」

タイミングよく手首を返すことでボールを強く弾き返すことができますが、子ども達に手首を返させると体の近くにバットを引き寄せてきてしまいます。

これではバットをこねた状態になりボールを捉えるのが難しくなってしまいます。

手首を返すではなくトップハンド (右打者は右手、左打者は左手) でボールを打球方向に押し出すイメージを持つことが必要です。

ボールを打ったところからもう一つ先のボールを打ち返すイメージです。

「手を離すな」

野球を始めたばかりの子はボールを打つ前にバットを話してしまう子がいるので、そういった子には有効です。

しかし、強い打球を打つためには振り切ることが必要なので、無理に両手で持ち続ける必要はありません。

片手を離しても良いから最後まで振り切ることが必要です。

スイング後に窮屈そうにしている場合は「最後は片手を話してもいいよ」と言って上げましょう。

怪我防止にも繋がります。


「叩きつけろ」

一昔前の指導では当たり前でした。

少年野球ではゴロを打てば相手がエラーをしてくれるからチャンスがあるという考えでした。

しかし、レベルが上がればそれでは通用しなくなります。

少年野球から遠くに飛ばす指導をする必要があると考えています。

叩きつけるスイングは練習としては、バットの出し方や腕の使い方を覚えることが出来るので良いと思いますが、実際に打つときはレベルスイングになるように指導するべきです。

「バットを最短距離で出せ」

これも叩きつけろと同じです。

練習の一つとしては良いですが、バットを最短距離で出すとフライが打てません。

最短距離ではなく「バットが体の近くを通るように」が良いと思います。


具体的なアドバイスをする時は道具を使わない

ボールやバットを使って動作を説明すると、どうしても道具をコントロールしようとしてしまいます。

動作を考えながら道具のコントロールをしようとすると脳が混乱してしまいます。

具体的な腕や足の動き、体の動きを指導する場合はシャドウでやってみて動作に集中させます。

そして、動作ができるようになったらボールやバットを使いますが、コントロールや飛距離を気にしてはいけません。

あくまで動作をしっかりと強く速く行うことです。

頭で考えて行うのではなく、体に覚えさせるのです。

できなければアドバイスをやめる

アドバイスをしてもなかなかできないことがあります。

アドバイスの仕方が悪いと思って何度も繰り返したり言い方を変えたりしていますが、それは子どもが体を思い通りに動かせないからです。

説明が悪くて伝わっていない可能性もありますが、何度も言われるのはお互いに気分が良いものではありません。

一言言ってできなければ諦めるべきです。

そうすれば間違ったアドバイスをしていてもあまり影響が出ません。

そして、一言で出来るようになるアドバイスを見つけるべきです。

まとめ

私が少年野球の指導経験の中で学んだNGワードをご紹介しました。

他にもあるかもしれませんが、だいたいは同じことです。

指導するからには上手にしてあげたい気持ちがあると思いますが、間違った指導は選手を苦しめるだけです。

人それぞれ合う合わないがあるので知っていることを強制することは有効ではありません。

指導者が正しい知識を持って、それを教えてあげるくらいにしておくと選手自らやってみるようになります。

自分を上手するのは選手自身です。

これを忘れないようにしましょう。


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