2020/04/14

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【打順間違い】野球の面白いルール



野球の面白いルールシリーズ第5弾は打順間違いです。

高校野球やプロ野球を観戦していて、打順間違いの場面を見たことがありますか?



多分ないでしょう。


高校野球やプロ野球では電光掲示板などに打順が表示され、次のバッターがわかりやすいので間違うことが殆どありません。(電光掲示板が間違っていることはよくあります。)

少年野球では”よくある事”ですが、間違いに気付いても上手に対応しないと不利になることがあるので難しいです。

稀な打順間違いですが、間違えた時のルールが面白いのでご紹介します。

※出てくる用語
正しい打者 → 正位打者
間違えた打者 → 不正位打者

気付かれなければ打順は違ってもOK

審判は気づいていても指摘することはありません。

ルールブックにも審判は”注意を喚起してはいけない”と書かれています。

両チームの監督・コーチ、選手が気付かなければそのまま進行します。

そして不正位打者の攻撃が終わり(走者になるかアウトになる)、次の打者に投球してしまった場合は、不正位打者が正位打者となります。

例えば、1番の打順で2番バッターが打ってアウトになるとします。

すると、2番バッターが正しいバッターとして認められ、次は3番バッターから始まります。

打てないバッターを飛ばせるので、少し攻撃側が有利になりますね。

そんな作戦を使ってくるチームはいないと思いますが、この作戦にはデメリットもあります。

打撃途中で気付いた時はそのまま交代できる

不正位打者が攻撃中に気付いた場合は、カウントはそのままで正位打者と交代します。

このルールは攻撃側への救済処置です。

ここで気づかなければ、相手が有利になってしまう可能性があります。

攻撃側は、できればこの段階で気付いて交代しておきたいです。

打撃完了後に気付くと正位打者がアウトになる

不正位打者がアウトになったり、走者となった後、投球前に間違いを指摘すると、不正位打者によるプレーはなかったことになり、正位打者がアウトになります。

そして、正位打者の次の打者からの打撃になります。

不正位打者による得点も無効となります。(盗塁、暴投などによる進塁、得点は認められる)

このタイミングで攻撃側が指摘するメリットは、不正位打者がもう一度打席に立てることですかね。

不正位打者がアウトになった場合は、ここで指摘して打ち直しましょう。

ピッチャーが投げてしまえば指摘できなくなる

ピッチャーが次の打者に投球(牽制も含む)した場合は、アピールすることができず、試合が続行します。

間違いに気付いていても言う必要はありません。

打順間違いを理解している人は少ないので、多くの場合がこのように流されてしまいます。


打順間違いクイズ

ここまで理解できたでしょうか?

打順間違いに関する問題に答えてみてください。

打順を下記のように仮定します。


打順 1 2 3 4 5 6 7 8 9
打者 A  B  C  D  E  F  G  H  I



Level1
打者Aの打順に打者Bがバッターボックスに入って、投球カウント2−1となったとき守備側がアピールした場合どうなるか。

a) 打者Aはカウント2−1を受け継いで打者Bと変わる
b) 打者Bはアウトとなり打者Aが打つ



答え








a) 打者Aはカウント2−1を受け継いで打者Bと変わる


解説
打撃途中のアピールは、カウントはそのままで正位打者との交代のみです。



Level 2
打者Aの打順に打者Bが打ち2塁打を放った後、守備側はただちにアピールした場合どうなるか。

a) 打者Bはアウトになり、打者Cが次の打者となる
b) 打者Aはアウトになり、打者Bが次の打者となる



答え








b) 打者Aはアウトになり、打者Bが次の打者となる


解説
投球前のアピールは、不正位打者のプレーを無効とし、正位打者はアウトになります。
そして、正位打者の次の打者が、次の正位打者となります。



Level 3
2アウト満塁で打者Fの打順に打者Hが出て三塁打を打ち、全走者を得点させた。
守備側は打者Gに1球を投じた後、アピールした場合どうなるか。

a) 打者Fはアウトになり、全得点は認められない。打者Gが次の第1打者となる
b) 走者Hは三塁にとどまり、3点が記録される。打者 I が正規の次の打者となる



答え








b) 走者Hは三塁にとどまり、3点が記録される。打者 I が正規の次の打者となる


解説
投手が投球しているのでアピールは 認められず、打者Hのプレーは有効になります。
そして、Hが正規の打者として認められるので、次の打者は打者 I となります。



Level MAX
打者Aの打順に打者Dが出て四球で出塁した後、打者Aが打席についてフライアウトとなった。その後、打者Bが打席について四球となった。次の打者Cはフライアウトとなった。
次の打者Dは走者となっているが、誰が正規の次打者となるか。

a) 最初に正規の打者だったAの次に打つ打者B
b) 正規の打者Dが走者から打者に変わる
c) 正規の打者はDなので次の打者E
d) 間を取って打者C



答え








c) 正規の打者はDなので次の打者E


解説
打者Aからの打順で、打者Dが打席に立っていますが、アピールなく進行しているため正規の打者として認められ次は打者Eの打順ですが、A→B→Cの順で打席に立っています。しかし、全てのプレイにアピールがないため、すべてが正規の打者として認められる。
現在の正規の打者はDですが、Dは走者のため次の打者Eが正規の打者となります。


まとめ

全問正解できましたか?

最後はかなり難しいですね。

野球は複雑なルールがたくさんありますが、理解している人は少ないでしょう。

全てを理解しなくても野球はできるということです。

打順間違いを見つけた時に自信を持って指摘できるようにしたいですね。


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