2017/07/03

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私のチームの指導方針


目次

少年野球指導方針

今回は、私が見ている少年野球チームの指導方針について書いていきたいと思います。


人間形成の指導方針

いくつかありますが、人間形成のために主としてやっていることは、以下の4つです。

  1. 怒鳴らない
  2. 主体性を育てる
  3. 考える力をつける
  4. 選手を尊重する

1つずつ見ていきましょう

怒鳴らない

私は、怒っても意味がないと思っています。むしろ、逆効果だと思います。

怒るというのは監督やコーチが自分の思い通りに選手が動いてくれないために、注意したり、指示したりする時に苛立ちをあらわにする事だと思います。

それって、自分の思い通りにならなかったら拗ねる子供みたいじゃないですか?

怒られて、「はい、わかりました」とはならないと思います。
大人でも上司に怒られたら、落ち込んだり、納得いかないことだと拗ねたりしませんか?
子供も一緒です。

やる気を出すために怒ったりしますが、怒られてやる気の出る人は、元々やる気のある人です。

子供のやる気を出す方法でも少し触れましたが、怒ってやる気を出させるのは逆効果です。
私は別の方法でやる気を出させます。今回は指導方針の話なので書きませんが、後日まとめたいと思います。

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子供のやる気を出す方法

子供にやってほしいことがあるけど、なかなかやる気を出してくれない時ってありますよね。やる気なしに練習しても意味のないことは、みなさんが知っていることだと思います。子供がやる気を出してくれない時、どうやってやる気にさせていますか?様々な方法があると思います。


主体性を育てる

主体性を持たせるでも主体性の重要性を書きましたが、チームとして主体性を育てるような指導をしています。主体性は、小さな子でも本来持っているのですが、生活をしていく中で奪われていく傾向があります。
主な理由は、親などの大人に行動を制限されるようになることで、主体性を失っていくからです。

奪われた主体性を取り戻すために、自分の事は全て自分で行うように徹底しています。

野球の練習中はもちろんのこと、親にも家庭で手出し、口出ししないように伝えてあります。家庭内のことは見えないので全てができているかわかりませんが、やってくれていると思います。

練習中では、ボール拾いも、グラウンド整備も大人は手伝いません。かなり時間は掛かりますが、見ているだけです。「早くしろ」も言いません。(練習後に「もっと早くできるようにしよう」とは言います)

自分たちで早くできるような工夫をしてもらいたいです。自分達でなんでもできるという自信をつけてほしいのです。
その中で協調性を身につけることもポイントの1つでもあります。

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主体性を持たせる

主体性を皆さんはご存知ですか?私が主体性という言葉を意識し始めたのは最近ですが、一度は耳にしたことはあるのではないでしょうか?主体性と一緒によく使われる言葉で自主性というのがあります。では主体性と自主性の違いは何でしょうか。



考える力を身につける

指導の中で考える力をつけることを意識して話をします。教えることだけが指導なのかと言えば違うと思います。

教えることは誰でも出来るし、自分で本を読めばわかるようなことも多いです。教えてもらったことだけをやっていては応用が効かなくなります。

スポーツで重要なのは、予測して準備することと、素早い判断だと思います。”予測して準備する”は、まず、予測出来ないと行けないので経験が必要になります。これは一回言われただけでは経験にはなりません。自分が初めて経験して意味があるのです。

自分が経験してしまえば、それに対する最善手を考える必要があります。これは経験も必要ですが、アイデアです。最善手を思いつくアイデアと、そのアイデアを実行する行動力がほしいのです。一部、話し方を紹介します。

例えば、オーバーランの指導をするときでは、「ホームベースに近いほうが点がとりやすいのか、遠いほうが点が取りやすいのかどっちや?」というような問いかけをします。


オーバーランに正解はないので、「こうやれ!」「もっと出れる!」「出過ぎや!」といった指導は子供の考える幅が無くなってしましますが、どこまで出れるかは経験していけば身に付くものですが、オーバーランの目的は少しでも次の塁に近づくことなのでそれを気付かせてやりたいのです。


選手を尊重する

少年野球では、監督やコーチが指示したことを子供たちに半強制していることがよくあります。

子供たちが練習中に遊んでいたら、怒って練習をさせる。
やりたくない練習もやらせる。
やりたいことをやらせない。

こんなことは当たり前のようにあると思いますが、私のチームでは子供たちがやりたいことをやらせています。やりたくないことはやらせません (やりたくないと言われたらやるとどうなるかを説明してあげると、やりたいと言うこともあります)。

子供は走ることは嫌いではありませんが、走りすぎるともう走りたくないといいます。
それでも、「体力をつけるため」と言って更に走らせることがあると思いますが、体力をつけさせる目的ではない走塁練習では「もう走りたくない」と言われればその練習は終わりにします。反対に「やりたい!」と言われればその練習を続けます。

指導者も人間ですが、子供も人間です。その人の意見はできるかぎり尊重しなければ鳴らないと考えています。

意見を尊重することのメリットは

自尊心が身に付く
意見を言えるようになる
積極性が身に付く

などがあります。
自分の意見を聞いてもらえると自信にもなりますし、アイデアを出そうという気持ちにも繋がります。

人が成長するためには「やりたい!」と思う欲求が必要だと思います。
その「やりたい」気持ちを失わせないためにも、子供たちの意見はできるだけ尊重してあげます。

野球指導の指導方針

2・3・4年生に野球を教える上での野球に関する指導方針は

  1. ルールに強い選手になってもらう
  2. セオリーを教えない
  3. サインプレーはなし
  4. 勝ちにこだわる
  5. 総合的な運動能力をつける

これらは学年が上がり野球のレベルが上れば変わってくると思います。
特に5・6年生になればサインプレーも必要になってきますし、セオリーも勉強することは必要です。また、6年生にもなると基礎運動能力よりも体力や筋力が付き始めるので成長に合わせて指導方針を変える必要もあります。

現在の指導方針を一つずつ確認しましょう。

ルールに強い選手になってもらう

野球を始めたばかりの子供たちには野球がどんなスポーツかすらわかりません。
野球は”ルール”が複雑でわかりにくいことや、勘違いしやすいところが多いので、正確に”ルール”を理解できるように説明します。

例えば、振り逃げを説明する場合、振り逃げはルールにはありません。
”3ストライク目をキャッチャーが正規に捕球できなかった場合、打者は打者走者になる”だけです。正確には走者がいる場合は変わってきますが、簡単に説明するとこんな感じです。
この説明をせず、振り逃げができる条件になった時に「走れ」と言われて何も考えずに走るだけでは、ルールを知ったことにはなりませんし、時間が掛かります。2,3年も野球をやればわかってくることですが、1回説明すればわかることですし、間違って覚えることが多いルールでもあります。

みんながわかっていないルールは作戦ボードを使って説明しますし、間違って覚えていたり、セオリーをルールと勘違いしている子には「そんなルールはないよ」と教えてあげます。


セオリーを教えない

ルールとセオリーは別物でも紹介しましたが、ルールとセオリーを同時に教える指導が多いですが、私のチームではルールとセオリーが混同してしまうので、セオリーは教えません。
定位置、リード、盗塁、タッチアップなどのプレーは野球史の中で選手たちが最も勝てる方法を考えてきてできたものであり、ルールではありません。

定位置であれば、ピッチャー、キャッチャー以外の野手はフェアゾーンであればどこを守ってもいいのです。それを「セカンドはベースにいなくてもいい」とか「サードはもっとベースより」という指導をよく目にしますが、どこにいてもいいじゃないですか(野球ができたばかりの頃はセカンドは2塁ベース付近にいたそうです)。
そこにいればアウトに出来る確率も上がりますが、それは選手が感じてポジションを決めるべきではないですか?何回もやっているうちに打球が飛ぶ位置がわかるので、自分でポジションを決められるようになります。反対に、定位置を教えてしまうと毎回教えないといけない羽目になります。最初はなんとなくでもいいので自分で決めさせます。


盗塁を教えるときに、”ピッチャーが投げたら走る”と教えると”ピッチャーが投げた時だけしか走ってはいけない”といった勘違いをしてしまうので、私のチームでは”いつでも走っていい”というルールだけ教えています。走れる時に走ればいいと考えていて、その”走れる時”は自分で見つけてほしいと思っています。

サインプレーはなし

私が教えているのは2・3・4年生なのでサインプレーは不要だと思っています。
バントなんてうまく出来ないし、それよりも打ったほうが確率が高い。
盗塁も勝手に走ればいいし、セーフになる自信がない子は走らなくてもいいと思います。
ここでも子供たちの判断を尊重していて、自分でいけると思ってセーフになることで自信につなげたいという思いがあります。

1点2点を争うようなロースコアのゲームをすることなんてまずないのでサインプレーなしで試合に集中できるようにしています。

楽しくプレー

楽しくなければやる意味がないと思っているので、野球を楽しむことを常に言っています。大人にやたら口を出されると楽しくないし、怒られて楽しいわけがありません。

楽しくプレーすることが野球を好きになることに繋がるし、野球が好きになればもっと勝ちたいと思うはずです。
勝つためには何が必要かを考えれば、自然に練習も頑張れるようになります。

野球を頑張ろうと思うような環境を作りたいのです。


勝ちにこだわる

先程の楽しくプレーするにつながりますが、私は勝つことが一番楽しいことだと思っています。
負けては楽しくない、だからこそ楽しくプレーしながらも勝ちにはこだわる。

もちろん、大人がどうこう言わなくても子供たちは勝つことが好きなので、「絶対勝つよ!」や「まだ諦めてないやろ?」と言ってちょっと煽ってやるだけで十分です。

勝つための野球を教えないのように教えられなくても「勝ちたい」という気持ちが勝つための方法を考えるエネルギーとなるのです。


総合的な運動能力をつける

これは全てのスポーツに言えることですが、1つのスポーツだけやっていても運動神経はよくなりません。そのスポーツは上手くなりますし、関係した動作は上手になります。

しかし、初めてやる動作はできません。
アメリカでは野球を本格的に始めるのは高校や大学からです。
小さな頃は様々なスポーツをやって身体能力を高め、野球に活かすのです。
MLBでは身体能力の高い選手が多く、学生時代はアメフトをやっていた選手が多いそうです。そういった積み重ねが、高い身体能力を生み出すのだと思います。

私のチームでは練習から野球だけではなく、いろいろな運動をさせています。
例えば、バスケットボールを投げたり、ついたり、フリスビーを投げたり、バドミントンをしたりと、体を上手に使える練習メニューを考えています。

野球を始めたばかりの頃は9歳頃までに一番身に付く神経系を強化してあげたいです。

動体視力だったり、反射神経を鍛えるために動体視力は9歳までにでも紹介した、ボールに書いた数字を当てる練習だったり、ダッシュの時に一瞬で判断するような練習、コーディネーショントレーニングなどを行っています。

上手に体が使えれば野球も上手になると思うので、”今”の試合に勝つために野球ばかりやるのではなく、”将来”の野球で活躍できる基礎を育てることを意識して練習メニューを作っています。

まとめ


基本的な考えとしては、子供たち一人ひとりを尊重すること、子供の”やりたい”という気持ちを大切にしてあげることです。

野球だけが人生ではありません。
ほとんどの子が野球とは関係ない仕事に就くことになると思います。

野球を通して人間としての成長の手助けが出来ればと思っているので、親さんの協力を得て、人間形成に力を入れています。

この指導方針は野球の指導でも、他のチームにはない独特の指導になっていると思います。
これは”教えられるよりも、自分で考えた方が効率良く身に付く”と考えているからです。
教えることは簡単で、考えさせると時間が掛かりますが、教えても聞いていなかったり、覚えていなかったりして何度も言うことになります。

それだったら一緒に考えて、”気づかせる”ことで1回で自分のものにしてほしいと考えています。

監督としては結果を出すことが求められると思いますが、私の思う良い結果は人生の成功なので、人生がスタートしてまだ10年しか経っていない子達に”今”の良い結果は求めていません。
人生の大切な時に良い結果が出せれば良いのです。

それが高校野球での大事な試合なのか、社会に出てからの大事な仕事なのかはわかり得ませんが、必ず約に立つと思っています。

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