2020/08/19

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【心に後遺症が残る】子どもにやる気を出させるためにやってしまいがちな間違い2つ

子どもが勉強や習い事の練習をしない時に、親はやる気を出させるために様々な手段を試すと思います。

その中でも効果的なことの1つが『ご褒美や罰を与える』ことだと思います。

そして、幼児期に最も効果的な、『他の子と比較する』ことも効果を感じると思います。

この2つは一時的なやる気を出すためには爆発的な威力を持ちますが、効果が切れてしまえばその後の考え方や感じ方に大きく悪影響を与えてしまう可能性がある非常に危険な方法です。

この記事では、なぜ効果があるのか?なぜ悪影響を及ぼすのかを紹介していきます。


ご褒美や罰の効果は絶大

ご褒美や罰を与えるとどれくらいやる気が出るのか、行動が変わるのかを調べる実験は心理学ではよく行われています。

例えば...

幼稚園児たちにマーカーペンで遊んでもらいました。

Aチームには先に「上手に絵をかけたら、ご褒美をあげる」と伝えておき、絵を描いた後ご褒美をあげました。

Bチームにはご褒美のことには触れず、絵を描いた後にご褒美をあげました。

Cチームにはご褒美をあげませんでした。

すると、Aチームの子は他のチームの子より長い時間、絵を描いて遊びました。

このようにご褒美がもらえるとわかっているとご褒美をもらうために頑張って上手に絵を加工とします。

これはどのような場面でも有効です。

罰も同様に作用しますが、ご褒美と違いやりたくないことをやらせる時などは、やる気を感じない時や、できなかった時に罰を与えることはよくあると思います。

しかし、この話には続きがあります。

ご褒美や罰がなくなると興味がなくなる

数週間後、同じ子たちにマーカーペンで遊んでもらいました。今回はすべてのチームにご褒美はありません。

すると、BチームとCチームは前回同様、絵を描いて遊びましたが、Aチームは絵を描くことにまるで興味を示さなくなりました。

ご褒美があった時に1番頑張っていたAチームが興味を示さなくなったのです。

これがご褒美や罰の悪影響です。

子どもたちは絵を描くことが好きでやりたいからやっているのであってご褒美のためではありません。

しかし、一度ご褒美をもらってしまうと、やりたい気持ちが失われてしまうのです。

これは心理学では一般的で、『自主的な行動に対してご褒美や罰を与えると内発的動機づけが失われる』のです。

ご褒美はサプライズで

もう一つ注目してほしいのはBチームもご褒美をもらっていますが、変化はありません。

このことからサプライズのご褒美は影響を与えないことがわかります。

頑張っている子どもに、バットやグローブを買ってあげたいと思うのが親の気持ちだと思いますが、「ホームランを打ったらバットを買ってあげる」よりもホームランを打った後に「最近、頑張っているからホームランを打てたんだね、バットを買ってあげよう」と言ってあげたほうが、「次も練習を頑張ってホームランを打とう」に繋がります。

ここで豆知識ですが、子どもを褒めた時のやる気に対する影響力は、存在(自分自身) > 価値観(大切にしていること) > 能力(できること) > 行動(やったこと) > 環境(場所、道具) です。

何を褒められても嬉しいものですが、褒める内容を変えることでやる気の出かたが違います。

ホームランを打った子に対して、「バットがいいね」や「ナイスバッティング!」のように ”環境” や ”行動” を褒めるよりも「君はいいバッターだね」や「やっぱり〇〇くんはすごいね」のように”存在”を褒めるとより効果的に影響を与えます。

反対に叱る時には「なにをやっているんだ」や「なんでそんなこともできないんだ」のように ”人格” を叱るよりも、「やり方がよくなかった、次はこうやってみよう」や「タイミングが悪かった、別の機会にやってみよう」と ”行動” や ”環境” と結びつけて叱ったほうが、行動を修正してもらいやすくなります。

他の子と比較して負けず嫌いを挑発できる

人には個人差があるため、集団で何かを行うと、できたりできなかったり、早かったり遅かったりします。

できない子や遅い子にやる気を出してもらうために、出来ている子を見せ「あの子は出来てるよ」「みんなはやってるよ」と他の子と比較してやる気を出させることはやってしまいがちです。

その場では ”負けないぞ” 負けず嫌いの心に火が着くので、やる気がでて出来るようになります。

しかし、この方法は言われた直後しか効果が続かないのです。

比較の後遺症は大きい

負けず嫌いの心に火を着けることは一時的な爆発力はありますが、心の後遺症も大きくなります。

なにをするにしても常に心の中で誰かと比較して ”これは優れている”、”これは劣っている” と感じるようになってしまいます。

優れていると感じることは積極的に取り組みますが、劣っていると感じることはやっても無駄だと思い諦めてしまうことが多くなってしまうのです。

集団行動ではどうしても順位をつけることがありますが、競争になると負けることが嫌で勝負すらしなくなってしまうこともあります。

兄弟同士の比較は要注意

歳が近い兄弟の場合は能力も近くなるのでどうしても比較してしまいがちです。

年齢が上の兄が出来るのは当然ですが、弟のほうが出来ることもあると思います。

そんな時に、「弟はできてるよ」や「なんであんたはできないの!」などのように比較した言い方をすると常に劣等感を感じて生きることになってしまいます。

「〇〇くんは上手だね」のように優しく言っても、本人は比較されているように感じるので同様です。

子ども個人個人の成長を感じ、出来なかったことが出来るようになったことを褒めてあげましょう。

毎日一緒にいる親なら、子どもをよく観察することで成長を感じることはできるはずです。



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まとめ

やる気を出す方法はたくさんありますが、今回紹介した2つの方法は、後からやる気が無くなってしまう方法です。

一時的なやる気を出させようとするのではなく、継続的にやる気がでるような接し方をして、本人が自主的に取り組めるようにするべきです。

継続的にやる気を出す方法は『目標を持つ』ことと『目的を持って行動する』ことです。

普段の生活から目標と目的を持つことを意識しましょう。


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